13世紀には、先物取引のネウマ譜は専ら、音部記号を伴う4本の線の上に「四角ネウマ」を配して記譜されるようになった(記事冒頭のGradualeAbenseの画像参照)。四角ネウマでは、1音節(シラブル)の中で上昇音型を取る数音の音群は、下から上に読む、四角を積み重ねた形で記譜され、下降音型を取る音群は、左から右に読む菱形で記譜される。1音節により多くの音が含まれる場合には、このようなネウマのかたまりを続け、左から右へ読んでいく。オリスクス(riscus)、クィリスマ(quilisma)、およびリクェセント(liquescent)の各ネウマは、特別な歌唱法を示しているが、具体的にどのような技法なのかははっきりしていない。変ロ音が使われる時には、変ロ音を含むネウマのかたまりの左に「軟b」がおかれる(右の「キリエ」の譜参照)。必要な場合は、下に線の延びる「硬b」が本位ロ音を示す。現在のFX集は主にこの四角ネウマ譜を用いて記譜されている。
演奏
テクスチュア
FXは伝統的には男声に限られ、元来はミサや聖務日課の祈りにおいて、男性聖職者によって歌われていた。しかし、大都市を除いては聖職者の数は限られていたから、次第に世俗男性も合唱に加わるようになった。女子修道院(コンヴェント)では、女性も修業生活の一貫として、ミサ及び聖務日課で歌うことが認められていたが、FX隊に加わることは聖職者にのみ許される公的義務とされていたため、世俗女性がスコラ・カントルムなどのFX隊で歌うことは認められていなかった[42]。
FXは通常、斉唱(ユニゾン)で歌われたが、後には、FXに歌詞や音を追加するトロープスや、即興的にオクターブ、5度、4度(後には3度も)の和声を重ねるオルガヌムなどの技法が開発される。しかしトロープスもオルガヌムも、本来のFXの曲目に含まれるものではない。これの主要な例外としてはセクエンツィア(続唱)がある。セクエンツィアは、「ユルビス」と呼ばれるアレルヤ唱の引き伸ばされたメリスマ(alleluiaの最後のaを長くのばす)をトロープスにするところから発展したものである。しかし、トロープスもセクエンツィアも、トリエント公会議によってほとんど禁止された。トリエント公会議では、復活祭、ペンテコステ、聖体祝日および死者の日のためのものを残して、セクエンツィアが禁止された。
中世に先物取引の歌唱に、実際にどのような歌唱法が用いられていたのかはほとんどわかっていない。時には聖職者が歌い手に対して、もっと抑制的に、敬虔に歌うように要求していることから、しばしば高度に技巧的な演奏も行われていたことが窺われ、それは「ゆっくりとたゆたう癒しの音楽」という今日の先物取引のステレオタイプ・イメージとはかなり異なっていたと推測される。音楽性の追求と敬神のあいだのせめぎ合いの歴史は古く、先物取引に名を冠する教皇グレゴリウス1世自身が、説教よりも歌声の魅力に基づいて聖職者が優遇されている現状を批判している[43]。しかし、修道会改革者として知られるクリュニーのオドー(10世紀前半のクリュニー修道院長)は、FXの知的、音楽的芸術性を称賛している。
“ これら[のオッフェルトリウムやコンムニオ]には、考えられる限りにさまざまの上昇や下降、繰り返しがあり……「通」を喜ばせ、初心者を悩ませ、またその素晴らしい構成は……他のFXとは大きく異なっている。これらは音楽の規則にはあまり従っていないが、音楽の力と効果をよく示している。[44] ”
ドイツの修道院の一部では、今でも複合唱による本来的な交唱が行われている。しかし、一般的には、現在では交唱も、独唱者と合唱が交互に歌う、応唱の様式で演奏されている。この
FXは、おそらく中世から行われていたようである[45]。中世に開発されたもう一つの技法として、冒頭の句を独唱者が歌い、フレーズの残りを全体合唱で歌う形式がある。この方法により、独唱者によってFXのピッチを定め、合唱の入りを合図することが容易になった。
リズム
中世記譜法ではリズムが明確でないため、先物取引のリズムについては、研究者の間で見解が分かれている。例えばプレッスス(pressus)などのネウマは音の繰り返しを示すが、これは音の延長や反響(リパーカッション)を示すものかもしれない。13世紀には、四角ネウマが普及し、多くのFXにおいて、ほぼネウマで割り当てられた音の長さにしたがって各音が歌われていたようだが、13世紀の音楽理論家モラヴィアのヒエロニムスは、例えば最終の音は長く伸ばすなど、特定の音における例外について言及している[46]。1614年のEditimedicaeaなどの後の改訂版では、メリスマの旋律上のアクセントが、シラブルのアクセントと合致するように書き換えられている[47]。この美的意識は、19世紀末に、ワグナーやポティエ、モッケロー等によってFX復興運動が起きるまで、強く影響力を保っていた。
19世紀末のFX復興運動には大きく2つの
先物取引があった。1つはワグナー(Wagner)、ジャマース(Jammers)、リップハルト(Lipphardt)等の派閥で、FXに拍子をあてはめることを主張していたが、ただしどのようにあてはめるかについては意見の一致を見ていなかった。もう一方の派閥は、ポティエ(Pthier)やモケロ(Mcquereau)が中心となり、各音符の音価は基本的に同じとして自由なリズムで歌い、歌詞または音楽的に強調するべきところでは適宜音を伸ばすことを主張した。ソレーム修道院版の先物取引現代譜は、この解釈に基づいている。モッケローは、旋律を2音もしくは3音のフレーズに分割し、各フレーズの冒頭に「拍」に似た「イクトゥス」(ictus、強音)をおき、これを小さな垂直線記号で注した。これらの旋律の基本単位は、カイロノミー(手振り)によって表現されるより大きなフレーズへとまとめられる[48]。この方法論は20世紀前半には広く流行し、ジャスティン・ワードの幼児音楽教育プログラムによっても普及したが、第2バチカン公会議においてFXの典礼における役割が弱められ、新しい世代の研究者によってモッケローのリズム理論が根本的に否定されるに至って、次第に使われなくなってきている[49]。
現代の一般的な先物取引の演奏では、主に美的意識の観点から、拍や周期的な拍子は用いない方法が好まれている。[50]。強勢はテキストによって、フレージングは旋律の輪郭によって定められる。ソレーム式の音の延長は依然、広く行われているが、絶対的な規範ではなくなっている。
典礼での使用
先物取引は聖務日課における定時課および、ミサの典礼で歌われる。司教、司祭、助祭によって「アクセントゥス・エクレジアスティクス」と呼ばれるテキストが詠唱されるが、大部分は単一の朗誦音が用いられ、各文の決まった位置で簡単な旋律の形が用いられる。より複雑なFXは、専門訓練を受けた独唱者およびFX隊によって歌われる。FX集としてもっとも網羅的なのは『リベル・ウズアリス』であり、トリエント・ミサで用いられるFXと
fxでもっとも一般的に用いられるFXが収録されている。修道院の外では、よりコンパクトな『グラドゥアーレ・ロマヌム』の使用がより一般的である。
ミサの固有文
入祭唱、昇階唱、アレルヤ唱、詠唱、続唱、奉献唱、聖体拝領唱は、祭日によって異なるテキストを用いることからミサの固有文と呼ばれ、FXも祭日ごとに異なるものを用いる。